【転職体験談】外資系小売企業の日本法人立ち上げで学んだこと





この記事は、実際に大手外資系小売企業の日本法人立ち上げにジョイン(転職)した私が、その体験談をもとに書いた記事です。

外資系の日本法人立ち上げに将来挑戦してみたい人、すでにそういった話をもらっている人、転職は考えていないけど気になる人、すべての人の参考になると思います。

外資系企業の日本法人立ち上げなんて聞くとなんだか華々しい話にみえるかもしれませんが、実際はかなり難易度が高く泥臭いです。

私は日本法人立ち上げの責任者としてではなく、立ち上げのプロジェクトの一員としてまずはジョインしたのですが、それでもかなり苦労しました。

日本市場にローカライズすることがどれだけ大切で難しいことなのか、身を持って理解しました。

この記事ではそんな理由も含め、転職や準備をする上で知っておいてほしいこと、注意してほしいことを軸に説明をしていきます。


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外資系企業の日本法人立ち上げはアドベンチャー

外資系企業の日本法人立ち上げは、一言で言うならアドベンチャーです。

表現が抽象的ですが、道のない場所にひたすら道を作っていくような感覚です。

こちらでは、外資系企業の日本法人立ち上げを考える上でどんな心構えや考え方が必要なのか、そしてどんなことにつまづきやすいのかを解説していきます。

私が実際に働き経験してみて感じたことなので、きっと参考になるはずです。

人事はとにかく早い段階で確立させるべし

外資系企業の日本法人立ち上げにおいて、まず一番重要だと感じるのが人事です。

人事と大きくまとめましたが、具体的には採用と人事の仕組み作りです。

外資系企業の採用にありがちだと感じるのは、英語が堪能なだけで優秀だと錯覚(過大評価)してしまうということです。

いくら業務で十分な英語力が必要だからといって、英語を軸にして採用するとかなりの確率で失敗します。

英語で自分自身を表現しプロデュースできる能力は素晴らしいですが、そこを評価軸にすると採用のミスマッチが起きます。

採用において見るべき点は「その人が入社して成し遂げたい(得たい)ことが、企業の理念や方針(目標)とマッチするかどうか」です。

この”成し遂げたい軸”が「報酬や待遇を向上させること」と考えている人を多く採用してしまうとミスマッチが起き、企業内で反乱軍が組織され企業の方向性がズレてしまうので注意が必要です。

そして採用のみでなく、人事の仕組み作りも立ち上げ段階においては非常に大切です。

どのような人を採用するべきか、給与体系のルール化、何を基準にするか、誰が評価をするか、どの採用媒体を利用するか、採用予算はいくらかなどなど。

立ち上げの早い段階で企業人事の方向性を明確に決められれば、それに伴って企業文化もしっかりと明確に形成されていきます。

日本市場撤退のリスクもあると最初から心得る

外資系企業の日本市場撤退は多いです。

思ったより市場が小さかった、自社のサービスや商品に競争力がなかった、日本文化に合ったアプローチとローカライズができなかった、その他外部要因など理由は様々です。

外資系企業は意思決定が早いので、撤退を決めたら実行までのスピードも早いでしょう。

合理的に判断して経営する企業や経営者が多く、外資系企業の日本市場撤退はよくあるものだと認識して転職や準備を考えておくほうがよいです。

特にそれが日本法人の立ち上げなのであれば、それは外資系企業本社からすると新市場への投資段階です。

リターンが見込めない投資だという判断がされれば、即撤退もあり得ます。

外資系は会社の歯車になるのではなく、自分が歯車を見つけて回すのが正解

外資系企業で求められ評価される働き方は、主体性です。

会社の歯車の一部となり淡々と目の前の仕事に打ち込むだけでなく、自分が新しい歯車を見つけて回していく働き方です。

新しい歯車を見つけたら、仲間も巻き込んで大きくしていきます。

そんな働き方ができる人間は自然と評価され、どんどん上のポジションに就いていきます。

歯車を見つけるのは企業のトップだけの仕事ではなく誰もができることであり、これは外資系の魅力的なところだと言えます。

そしてそれが法人の立ち上げ段階であればなおさら、全く回っていない歯車を見つけられるチャンスがそこら中にごろごろと転がっています。

外資系の日本法人立ち上げで苦労する、日本市場へのローカライズ

外資系企業が日本法人を立ち上げてビジネスを成功させるために苦労するのが、日本市場へのローカライズです。

市場調査目的などで日本法人を立ち上げた場合ではなく、特に自社商品やサービスをすでに持っていて、それを日本で展開する場合は簡単ではありません。

商習慣や消費者の感覚は当然他国とは異なり、日本独特の文化というものも多く存在します。

例えば商品で考えると、日本は長らく続いているデフレの影響ですでに安くて高品質なもので世の中は溢れています。

小売業で考えると、ユニクロやワークマンなどがわかりやすいです。

つまりどれだけ良い商品を持っていても価格で勝負するしかなく、販売価格を下げることで利益率は下がります。

反対に販売価格を下げない戦略で戦おうとすると、マーケティングおよびブランディングが重要になってきますが、ブランディングを確立するには通常かなり時間と費用がかかります。

時間と費用をかけて長々と投資していては、成果が出る前に日本市場撤退の可能性も出てきます。

日本は人口も減り続け、市場規模はどこも基本的に縮小傾向なので、ここで結果を出すことはやはり簡単ではありません。

ここはしっかり認識しておくべきでしょう。


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外資系企業における「仕組みが9割」の重要性

「仕組みが9割」という言葉は、日本の大手小売チェーンである無印良品を展開する良品計画の松井会長が生み出した言葉です。

良い会社は、仕組みで動いている。

経験談からも言えますが、私は本当に強くそう思います。

企業の立ち上げ段階においては、基本的に何も決まっていないことがほとんどです。

それが外資系企業であればなおさらで、1年経ってもまともな研修やマニュアル、ルールなどがない企業も多いです。

とにかく前に進んで前進することも大切ですが、そうして仕組み作りを怠っていると確実に後で後悔することになります。

進めば進むほどそこからの軌道修正の幅が大きくなり、それぞれが自由に行動し、どんどん組織力が低下していきます。

そうならないためにも、先ほど人事の仕組み作りにも言及したように、様々なことを仕組み(ルール)化するべきです。

特に日本人は、良くも悪くもある程度規律がないと動けない人も多く、仕組み作りは組織運営において本当に大切で基本的なことです。

外資系企業に多い短期で結果を求められる状況であるのなら尚更で、仕組みを作って効率良くビジネスを展開していくことが重要です。

「仕組み化」は、企業の立ち上げ段階においては常に頭に入れておいてください。

まとめ

外資系企業の日本法人立ち上げにおいて大切な考え方、注意点、仕組み化の重要性について説明しました。

私自身が転職した外資系小売企業は、日本市場参入当時は黒船ともてはやされ、数多くのビッグメディアにも取り上げていただき注目の的でした。

しかし残念ながら、新型コロナウイルスの影響は少なからずあるとはいえ、その勢いは今止まってしまっています。

その原因はこれまでに述べてきたところも大きいと思っています。

しかし日本市場は人口は減っていても世界的に見ればまだまだ大きな市場であり、やり方次第で確実に大きな成功ができる市場です。

この記事で説明した点をしっかり理解していただき、参考にしてもらえればと思っています。

外資系企業では、日系企業で経験できないことをかなり経験できます。

道のない場所に道を作っていく経験は、どこに行っても通用する力になるでしょう。

 

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